ロンドン ミュージカル/舞台

初々しさが逆に新鮮なミュージカル「匿名レンアイ相談所」

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Romantics Anonymous @ Shakespeare Globe / Sam Wanamaker Playhouse

「マッチ売りの少女」と同じく、シェイクスピア・グローブシアター室内の劇場「サム・ワナメイカー・プレイハウス」での上演。
2010年公開のフランス映画「Les Émotifs Anonymes」、日本では「匿名レンアイ相談所」というタイトルで公開された映画が元になっています。

グローブシアターの芸術監督エマ・ライスの脚本により、新たにミュージカルとして上演されています。

会場

グローブシアターは、ロンドンブリッジ駅が一番近いです。

しかし、ロンドンブリッジ駅からは人が多く、移動するのにも時間がかかるので下記のルートを使うと、観光地も一緒に訪れられるので一石二鳥です。

  • セントポール駅からセントポール大聖堂を眺め
  • ミレニアムブリッジでテムズ川を渡り
  • テートモダンに寄り道して
  • お隣のグローブシアターに行く

あらすじ

舞台は、フランス。人が見ていると何も話せない、そんな極度の人見知りのショコラティエのアンジェリークは、大人気のチョコレートショップでオーナーのみ知る秘密のショコラティエとして働いています。
しかし、そのオーナーが他界してしまいます。

仕事がなくなり、面接に訪れた老舗チョコレート工場の社長ジャンレネーもとてつもなくシャイ。
女性とスキンシップを図るどころか、ちゃんと話すこともままなりません。

仕事の話もちゃんと出来ないまま、チョコレート工場のショコラティエではなくセールス担当として雇われたアンジェリーク。
そんな二人の恋の行方は … ?

私の評価

満足度★★★★★
英語の難易度★★

「マッチ売りの少女」で熱弁してしまった、エマ・ライスさんの脚本・監督作品。
マシュー・ボーンさん主宰のニュー・アドベンチャーズでもアソシエイトデザイナーを務めているデザイナー(レズ・ブラザーストンさん)だと聞けば、見ないわけにはいきません。

セットも舞台に合わせて、ミニマムかつ効果的な使い方で物語の世界へ誘ってくれます。
コスチュームも「ザ・フランス」的なイメージで、カラフルで可愛らしいものが多くて見ているだけで楽しくなってしまいます。
(オーケストラもコスチュームを着て演奏していますので、お見逃しなく!)

開演前にチョコレートが配られ「劇中で指示があるまで食べないように」と言われるのですが、どんな風に使われるのか上演前からドキドキさせてくれます。
(ややネタバレですが、ドラえもんの「翻訳コンニャク」を彷彿とさせられました。笑)

エマ・ライスさんの作品は、どの役者さんもキャラクターが濃くて「こんな人出ていたっけ?」という人がいない、役者全員が重要な役割を担っているところがまた良いんですよね。
休憩(インターバル)中もロビーで役者さんが即興で歌っていたりと、観客を楽しませようという気持ちがヒシヒシと伝わって来ますし、何より役者さん自身がお芝居を楽しんでいるというのが彼女の作品の見どころでもあると思います。

アンジェリーク役のカーリー・ボーデンさんですが、この方どこかで見たと思ったらデーモン・アルバーンのミュージカル「ワンダー・ドット・ランド」や、鬼才アレクサンダー・マックイーンの世界を描いた、すっごくつまらなかった(すいません!)お芝居「McQueen」にも出てましたね。

あえて微妙な点をあげるとすれば、終演後も耳に残る楽曲がなかったことでしょうか。
ミュージカル ミュージカルしていないところが、ミュージカルが苦手だと言う人にも受け入れられやすいかと思います。
ミュージカルではタブーである(笑)「今すぐ歌うのをやめろー!」「何故歌っているんだ?」という様なツッコミも彼女の作品ならでは、じゃないでしょうか?

想像力を掻き立ててくれる、素晴らしいミュージカル作品です。

チケットの取り方

現在、「匿名レンアイ相談所」チケットは全公演完売です。

しかし、グローブシアターはキャンセルが出た場合など、さりげなくオンラインに反映されます。どうしても、チケットが欲しい方は、グローブシアター公式のホームページを根気強く確認しましょう。
当日キャンセルなどで、会場でチケットを購入出来る場合(定価)もありますので、直接会場に行っても良いかもしれません。