Mary Stuart @ Duke of York’s Theatre
スコットランドの女王メアリーとイングランドの女王エリザベス1世の物語。
*ちなみに、「メアリー・スチュアート」はブラッディーメアリーと呼ばれたエリザベスの義理の姉にあたる「メアリー1世」とは別人。
ヘンリー8世とその妻たち、そしてその後の宗教による王位争いはイギリスでは最も重要な歴史のひとつ。シェークスピアなど様々なドラマとして今でも語り継がれています。
会場
デューク・オブ・ヨーク・シアターは、レスタースクエアとチャリングクロスが最寄り駅。
かなり小さな縦長の劇場ですので、1階(ストール)の後ろ側の席は舞台が半分くらいしか見えません。
上の安い席もかなり下を見下ろす形になると思いますので、出来れば前の席を取ることをおすすめします。
イングリッシュナショナルオペラやノエル・カワード・シアターと同じ通りにあります。
コベントガーデンとチャイナタウンが近いので、観劇前/後でお食事出来るレストランも沢山あります。時間がない時は、同じ通りにあるピザ屋さんで軽く食べるのがおおすめ!
あらすじ
フリードリヒ・シラーによる戯曲をアレンジした作品。
物語を楽しむ上で知っておくべきイギリスの歴史
メアリー・スチュアート
16世紀、わずか生後6日でスコットランド王女なったメアリー。5歳になったメアリー王女は、フランスのアンリ2世の王太子と結婚。
16歳でフランス王妃であり、スコットランド女王となり、18歳で未亡人となります。
当時のフランス王との間に子供がいなかったため、メアリーはフランスを去りスコットランドの女王として帰国します。
政略結婚ではなく、恋愛結婚を望んだメアリーはダーンリー卿と出会って5ヶ月で再婚。
息子ジェームスをもうけます。
その後、ダーンリー卿が死亡し、ボスウェル伯と再婚するもダーンリー卿の暗殺企てを疑われ25歳でスコットランドを追われます。
フランスに逃げようとした日が悪天候だった為、辿り着いたイングランドでエリザベスに助けを求め、幽閉されます。
幽閉され続け、最終的に44歳でエリザベスの暗殺企てをしたとして処刑され、一生を終えました。
エリザベス
メアリーより9歳年上になるエリザベスは、イングランド王ヘンリー8世とアン・ブーリンの間に生まれます。
ヘンリー8世との間に男児が生まれないことにより、ヘンリー8世はアンブーリンを処刑、エリザベスは王位継承権を奪われてしまします。
しかし、兄弟が次々となくなったことによりエリザベスがエリザベス1世として25歳でイングランド女王となります。
その際にフランス王が「エリザベスは、王位継承権を持っておらず、ヘンリー7世の曾孫にあたるメアリー・スチュアートこそが正当な王位継承権がある」と主張し、エリザベスはメアリーに対し敵対心を持つようになる。
エリザベスの暗殺を企てたとして、幽閉していたメアリーを処刑。国民が全てとし、一生結婚をしなかった事でも有名。
69歳でエリザベス1世が亡くなると、メアリーの息子ジェームス1世がイギリス王となります。
こんな全く異なる人生を送った2人は、今一緒にウエストミンスター大聖堂に眠っています。
メアリーが、幽閉されてから処刑されるまでの最期を描いたのがこの作品。
私の評価
満足度★★★★
英語の難易度★★★★★
イギリスの歴史を変え、正反対の人生を送った2人の女王。「どちらが、どちらの立場になってもおかしくなかった」というテーマのもと、この作品の凄いところは主演女優の2人がどちらの役も演じるということ。
最近ではベネディクト・カンバーバッチとジョニー・リー・ミラーの2人が交代で2役を演じる「フランケンシュタイン」もありましたが、この「メアリー・スチュアート」の凄いところは、舞台上でコインを投げてメアリーかエリザベスかどちらの役をやるのか、その場で決めて、間髪入れずに物語がすぐに進行するというところ!
そんな話聞いた事がありますでしょうか?しかも上演時間約3時間のセリフも大量にある史劇。
*マチネ (お昼のショー)がある日は、マチネとソワレ(夜のショー)は別の役に交代するそうです。こうなると、大御所の大女優が普通にお芝居をする事に飽きて、ちょっと刺激が欲しいくらいの感じになるのでしょうか?レベルが違いますね。
イギリスのメディアの評価も、とても良い作品です。
セットはチェンジなしですが、小さな劇場を客席も含めて効果的に使っていると思います。衣装も基本的にはシンプルで、演技に集中出来ます。
ですが、かなり英語の難易度は高めです。歴史を知っている上で、長々とジョークなしの台詞のみで続くシーンを理解するのはかなり難解。
あと、2人が運命を変える書類にサインをするシーンに手元をビデオで写したり、ドラマ24の様に、時間が映し出される演出はイマイチ効果が無いように感じました。
最後にいきなり大音量で流れる音楽もちょっと謎だし、その辺りが微妙なポイントでしたが正統派なお芝居を見たいという人にはおすすめです!
チケットの取り方
無料アプリでも簡単に安くチケットが取れますし、劇場での当日券の販売もあります。
2018年3月31日まで公演中。
ロンドン公演後も、バース、マンチェスター、ケンブリッジにて4月28日までUKツアーが行われます。