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A Very Very Very Dark Matter @ Bridge Theatre
昨年、話題になった映画「スリー・ビルボード」で監督・脚本を務めたマーティン・マクドナーのオリジナル最新作。(お芝居)
毎回ブラックユーモアが溢れ、物議を醸すマクドナー作品ですが、いったい今回はどの様なお芝居になるのでしょうか…?
会場
ブリッジシアターは、2017年10月にオープンした新しい劇場です。
ロンドンブリッジ駅から徒歩5分程度。タワーブリッジ(よくロンドンブリッジと間違えられる、一番有名な橋)のすぐ横、ロンドン塔のテムズ川を挟んで向かい側に位置します。

劇場にも、レストラン兼バーもありますし、ロンドンブリッジ駅から劇場に向かう途中にもレストランがいくつもあります。
新しい劇場なので、座席にも余裕があり、ステージから座席までも距離があってどこの席からも見やすい作りになっていると思います。
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あらすじ
舞台は、デンマーク・コペンハーゲン。
人魚姫、裸の王様、醜いアヒルの子、マッチ売りの少女などを書いたデンマークを代表するの童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセン。
実は、そんなアンデルセンは子供になんて全く興味がなく、ゴーストライターがその物語を書いていた。
世界中の子供たちに愛される童話作家の、屋根裏に隠された暗い秘密が明らかになる…。
知っているとお芝居がもっと楽しめる!【ボキャブラリー】
ピグミー
2特に身長の低い(平均1.5メートル未満)特徴を持つ、アフリカの赤道付近の熱帯雨林に住む狩猟採集民である。 Wikipediaより
レオポルド2世 (ベルギー王)
即位前から植民地獲得に強い関心を持ち、他の列強の支配が及んでいないコンゴに目を付け、コンゴ国際協会を創設して探検を支援。
先住民の部族長と条約を結ぶなどコンゴ支配の既成事実化を進めた。1884年のベルリン会議においてコンゴを私有地として統治することを列強から認められた(コンゴ自由国)。 Wikipediaより
私の評価
満足度★★★★
英語の難易度★★★
開演前の舞台には、うす暗いアンデルセンの家(屋根裏)のセットに部屋中、天井からも溢れるほどのパペットが飾ってあります。そして、木製の大きな箱がゆらゆらと不気味に揺れています。
野外セットかと思うほどに劇場内も肌寒く、お化け屋敷の様な雰囲気すら感じられました。タイトルを始め、広告のイメージからもさぞかし恐ろしい内容なのではないかと、観劇に行く前からちょっと緊張。
ネットでの一般の評価や新聞などでは「見ていて不快になった!」「休憩があったら前半で帰ってた!(休憩なしの90分)」「途中で退出する人がいた」「マクドナー作品は好きだけど、これは好きじゃない」などとあまり良い評価がないのも若干心配していました。
しかし、そんな心配は無用でした。
どうやったら、こんな組み合わせを思いつくのだろうと度肝を抜かれてしまいました。
確かに少し衝撃的な演出もありましたが、ただ刺激を求めて意味のない暴力的なシーンや差別的な設定をしている訳ではないですし、対象者が被害者として振舞っていないので、会場内でも何度も笑いが起きていましたし、ダークユーモアとして楽しめました。
血まみれになるシーンはありますが、グロテスク感はそんなにありません。
「ハングメン」や「ピローマン」の様に、堪え難い状況を想像させる箇所は少しありましたが、前出の2作に比べると軽いのではないでしょうか?(気がつかなかっただけかもしれませんが…汗)
そこを物足りないと感じる人も多いのかもしれませんが、個人的にはこれくらいがちょうど良く、テーマも面白く、考えさせられました。

でも、勿論相変わらずの人種差別的発言、罵り言葉はふんだんに盛り込まれていて、子役もいっぱいいるのにいいのか…とむしろ、そちらが気になってしまいましたが…。
ハンス・クリスチャン・アンデルセンは「ハリーポッター」のスラグホーン先生や、「パディントン」シリーズの骨董品店の主人、「ブリジットジョーンズ」のお父さん役などで有名なジム・ブロードベントが演じています。
あんな穏やかそうな人が、どれだけ凶暴になってしまうのかとドキドキしましたが、彼は終始皮肉なだけで観ていて(そこまで)恐ろしい行動はしないので、安心してください(笑)
暗いテーマの中で、コメディ要素を持ったキャラクターというダークユーモア&アイロニーがお好きな方は是非どうぞ。
セットは、屋根裏のセットと野外、他のキャラクターのダイニングルームだけですが、スペースを最大限に上手く利用していて、何よりも見切れがないので観やすかったです。
小道具やコスチュームも作り込まれていて、世界観が完成していました。
おも〜い気持ちで劇場を後にする作品では無いと思うので、興味がある方はご覧になってみてください。
チケットの取り方
デイシートが、毎日午前10時から劇場にて15ポンドで発売されています。アプリでも20ポンドのチケットが購入可能です。
年齢制限は無いようですが、高校生以下のお子さんにはオススメできません!
2019年1月6日まで上演中。