ロンドン ミュージカル/舞台

北アイルランド問題を描いた超大作「ザ・フェリーマン」

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The Ferryman @ Gielgud Theatre

1981年、舞台は北アイルランドで2番目に大きい都市ロンドンデリー。

IRA(アイルランド共和軍)のハンガーストライキを主に、北アイルランド問題を取り扱ったお芝居「ザ・フェリーマン」。

2017年4月にロイヤルコート・シアターで上演されてから人気を博し、現在はウエストエンドで上演中。
2018年の10月にはブロードウェイでの上演も決定している話題作です。

会場

ギールグッド・シアターは、ピカデリーサーカス駅が最寄駅。
レ・ミゼラブル」や「スリラー」などの劇場が並んでいる通りにあります。

ストール席は、舞台より低いので前方の席は舞台を見上げる形になります。
ですので、ストールの場合は4列目くらいから後ろの方が見やすいと思います。

あらすじ

農家で働くクイン・カーニーと妻、子供たち、叔父や叔母、弟の妻と息子など大家族のカーニーファミリー。収穫祭に、10年前に失踪した弟の情報を持った訪問客が訪れ…。

時代背景

1960年代から、民族と宗教の違いから始まったアイルランドとイングランドの紛争が続いていました。

1981年はマーガレット・サッチャーの時代であり、IRAメンバーによるハンガーストライキが起こりました。

1980年、ベルファスト郊外のメイズ刑務所に服役中のIRA活動家が犯罪者として扱われていることに抗議し、政治犯としての扱いを希望。それが法的に認められるまで食事を拒否。この命がけのハンガーストライキで10名の活動家が命を落とし、そのおかげでかろうじて待遇の改善が行なわれることになりました。

参照元: http://zip2000.server-shared.com/ireland.htm

また、IRAが関与しているといわれる北アイルランドでの17名の失踪事件も物語の鍵となります。(失踪した内の1名はオリジナルのキャストの叔父に当たり、この出来事が脚本にも反映されています)

私の評価

満足度★★★★
英語の難易度★★★★

007 スカイフォール(2012)、007 スペクター(2015)などでお馴染みのサム・メンデス監督(イギリス人)が演出。
数々のメディアから高評価を受け、イギリスのシアター賞を総なめにしている話題の作品

キャストは2018年1月に総入れ替えしていますが、新しいキャストの方も素晴らしいです。個人的にはお目当の役者さんが出ていたので、こちらを見られて良かったです。

老若男女、20名あまりの大家族、赤ちゃん、ウサギ、ガチョウまで(!)とにかくキャストの数が多い!そして幅広い!ブロードウェイミュージカル並みの華やかさです。
まるで、観客が大家族のファームハウスに招かれている様な錯覚に陥ります。

キャストの大半はアイルランド出身の方で、アイルランド訛りがかなり聞き取りづらいので、アイルランド英語の理解力が無いと厳しいかもしれません。

3時15分の超大作で、途中休憩と3分程度の舞台セットアップの時間もあります。
舞台セットは、チェンジこそ1回のみですが大人数が使えるスペースを残しつつ、小道具にも細心の注意が払われていて、階段や玄関、カーテンなど機能的なスペースの使い方が素晴らしい。

内容は北アイルランド問題を扱っているので、イギリス人にはものすごく身近。
ですが、我々には馴染みがあまり無いので、少しお勉強してから行くと更に楽しめるかと思います。

見終わった後に「あー面白かった!楽しかった!」と思える、後味の良い作品では無いのですが、色々とこの国の歴史や民族について改めて考えさせられます。

家族連れのお客さんも多く見受けられましたが、対象年齢は14才以上、罵り言葉も沢山使われていますのでご注意ください。

チケットの取り方

公式ホームページ携帯アプリでも購入可能

上演期間も残りわずかになってきて、ブロードウェイ行きも決まったのでチケットも入手困難になってきている様です。

当日券

毎朝10時半より劇場にて当日券を12ポンドで購入する事が可能です。

当日券を求め、ちょうど10時半に劇場に行きましたが、既に数名の方が並んでいました。
11時には列もなくなり、まだ当日券は残っている様でした。

当日券を買う場合は住所や名前などを口頭で聞かれ、支払いをします。
引換券を貰えますので、開演30分前に劇場でチケットと引き換えます。

もし、劇場での当日券が売り切れている場合はアプリ「TodayTixで、登録をすると毎日午前10時から当日券を25ポンドで購入する事が可能です。
劇場よりも料金は少し高いですが、朝並ばずに済むので時間が無い時は便利です!

2018年5月19日まで上演中。